にわかに忙しくなっております。
先週、知り合いの建築士の方から、「急ぎだから、確認申請の図面手伝って!」とご依頼がありました。
2日に初めて図面を見て、納品が11日!A-3図面を8枚を超特急で仕上げないといけません。
3、4日は大学。5日はリフォームの打ち合わせに行って留守でしたので、内心あせってきました・・・
誰かに、この話をしたら、「え?そんな仕事もするの?」って言われました。そんなってどんな?(笑)
いえ、いえ。 数ある建築士の中から、お仕事を頂けるのはありがたいこと。 仕事があるうちが華ですから。
実は、今までも、基本的に仕事はお断りしたことは殆どありません。
(まあ、私はやる気満々でも、ぽしゃった話も多いですが・・・)
先日、久しぶりにお断りしたのがありました。工務店さんからのご依頼でしたが、家作りの姿勢と断熱の考え方が、違うな~と感じてました。最後は、家作りへの思いが違うのは駄目だと思って、お断りさせて頂きました。
で、これがお断りした仕事では二つ目。
一つ目は随分前のこと。9年位前でしょうか?
当時、知人からのご紹介で、ご高齢のお婆さんのお住まいのバリアフリー改修工事の設計をご依頼頂きました。お婆さんは一人暮らしで、80代半ばで足が悪く、少し、引きずって歩いていらっしゃって、日々の生活を心配された娘さんが、トイレを改修してあげたいという相談でした。(もともと、小便器もあり、狭いし、床もタイルで、使いにくいものでした。)
ところで、この物件は大工さんが決まっていました。大工さんは娘さんの家、息子さんの家も施工された方で、お婆さんがとても気に入っているので、必ずこちの方で。との条件でした。
で、この大工さん、初対面の時から斜に構えていて、印象がイマイチ・・・(60代の人でした。)見積もりも見せてくれないし、工期も知らせてくれない・・・連絡しても、「そのうち、そのうち。」というばかりで、う~ん。と思っていたところ、「工事が始まったけん、そろそろ、見にきんしゃってもよかよ。」と連絡があり、現場に直行しました。
と、現場は随分と進んでいました。というか、私の描いた図面よりトイレが広い??聞くと、「広かほうがよかろうと思って、外壁ば壊して、広げたたい。」・・・あぁ、そうですか。
そして、トイレの排水の配管は済んでいました。
それを見て「あぁ、配管、しちゃったんですね・・・」とつぶやいたら、大工さんの逆鱗に触れて、大激怒!!!
「なんば、いいよっとや!」と怒鳴りだして、そこからは、こちらも声が大きくなり、怒鳴り声の響く現場。(本当に、もう・・・)
というのも、これはトイレのバリアフリー改修工事。足の不自由なお婆さんが毎日の暮らしが少しでも楽になるように。というのが本来の目的。
そのために、足が悪いのに、TOTOのショールームまでお越し頂いて、シュミレーションができるところで、手摺の高さ、位置、ペーパーホルダーの位置、便器と壁の距離も最適値を確認して、測定結果を反映させて図面を作成したのです。
配管が終わっているということは、便器の位置が決まっているということ。配管の位置では、測定したデータと違い、手摺の付く壁が遠く、手をぐっと伸ばさないといけません。
それでは、まずい・・・と思ったので、「配管しちゃったんですね。」という発言になったんです。しかも、外壁作り直して、広くなって、ますます手摺が遠くなっているし。
結局、怒鳴り声のする現場に、施主であるお婆さんが現れ、二人ともトーンが落ち、しかも、私の物言いが良くないので「職人を連れて帰る!」と言い出した大工さんに、なすすべはなく、私が口のきき方が悪かったと謝罪して、現場は続行されることになりました。
最後に、竣工検査に行きましたが、手摺の向きが逆!!!立ち上がるときに必要な横のバーが反対向きについている!ペーパーホルダーも指定の位置にない!大工さんはというと、お婆さんに、「この、引き戸の板ば見ちゃってんしゃい。さわらの一枚もんたい。上等やろうが。天井は松の皮付き丸太の押し縁で、しゃれとるでっしょうが。」と説明中。いえ、図面の中にはそんな高級材料、指定してないんですけど・・・
手摺の位置のことも指摘したのですが、信頼する「大工さんがよかっていいよんしゃあけん。」とのお婆さんのお答え。
いや、さわらの一枚板はいいんです!!本来の使いやすいトイレにしたいという目的はどこに行ったんですか?
竣工後暫くして、ご様子伺いにいきました。その時、大工さんに見せていただけなかった見積もりをお婆さんに見せていただいたら、「100万円」の請求書。もともと図面になかったさわらの一枚板とか入れているし、こちらの意図に反して、意匠や材料に凝っているから、こんなことに・・小さなトイレ工事に100万。
手摺の件を伺ったら、立ち上がるときは、仕方がないので、ペーパーホルダーに捉まっているとか。
本当、もっとしっかり大工さんに伝えるべきだったとか、反省する現場でした。施主が求めているのを具現化しないといけないのに、色々と仕事のあり方について考えさせられました。(その後、色々な現場でご一緒いただいた他の大工さんは概ねちゃんとされていました。むしろ、こちらが勉強になっています。)
その後、お婆さんの娘さんから「キッチンのリフォームがしたいので、お願いできますか?」とご依頼されましたが、この時も条件が前述の大工さんの施工であること。
娘さん曰く、「住んでいる家を建ててもらっているけど、雨漏りがして、ちょくちょく手直しして貰っているから、大工さんは変えられないんですよね。でも、この大工さん、私の話を聞いてくれなくて、家建てるときも、要望を色々言ったのに、大工さんが好きなようにしちゃって・・・それで、今回、使い勝手を考えると設計士さんに入ってもらいたいんですよ。」とのこと。
「・・・すみません。お断りします。」とお話しました。これが初めてお断りしたお仕事。
こんな経験もあり、毎日の仕事でも、自分の作品を作っているんですか?依頼者の住まいを作っているんですか? と、日々、自問しています。
先週、知り合いの建築士の方から、「急ぎだから、確認申請の図面手伝って!」とご依頼がありました。
2日に初めて図面を見て、納品が11日!A-3図面を8枚を超特急で仕上げないといけません。
3、4日は大学。5日はリフォームの打ち合わせに行って留守でしたので、内心あせってきました・・・

誰かに、この話をしたら、「え?そんな仕事もするの?」って言われました。そんなってどんな?(笑)
いえ、いえ。 数ある建築士の中から、お仕事を頂けるのはありがたいこと。 仕事があるうちが華ですから。
実は、今までも、基本的に仕事はお断りしたことは殆どありません。
(まあ、私はやる気満々でも、ぽしゃった話も多いですが・・・)
先日、久しぶりにお断りしたのがありました。工務店さんからのご依頼でしたが、家作りの姿勢と断熱の考え方が、違うな~と感じてました。最後は、家作りへの思いが違うのは駄目だと思って、お断りさせて頂きました。
で、これがお断りした仕事では二つ目。
一つ目は随分前のこと。9年位前でしょうか?
当時、知人からのご紹介で、ご高齢のお婆さんのお住まいのバリアフリー改修工事の設計をご依頼頂きました。お婆さんは一人暮らしで、80代半ばで足が悪く、少し、引きずって歩いていらっしゃって、日々の生活を心配された娘さんが、トイレを改修してあげたいという相談でした。(もともと、小便器もあり、狭いし、床もタイルで、使いにくいものでした。)
ところで、この物件は大工さんが決まっていました。大工さんは娘さんの家、息子さんの家も施工された方で、お婆さんがとても気に入っているので、必ずこちの方で。との条件でした。
で、この大工さん、初対面の時から斜に構えていて、印象がイマイチ・・・(60代の人でした。)見積もりも見せてくれないし、工期も知らせてくれない・・・連絡しても、「そのうち、そのうち。」というばかりで、う~ん。と思っていたところ、「工事が始まったけん、そろそろ、見にきんしゃってもよかよ。」と連絡があり、現場に直行しました。
と、現場は随分と進んでいました。というか、私の描いた図面よりトイレが広い??聞くと、「広かほうがよかろうと思って、外壁ば壊して、広げたたい。」・・・あぁ、そうですか。
そして、トイレの排水の配管は済んでいました。
それを見て「あぁ、配管、しちゃったんですね・・・」とつぶやいたら、大工さんの逆鱗に触れて、大激怒!!!
「なんば、いいよっとや!」と怒鳴りだして、そこからは、こちらも声が大きくなり、怒鳴り声の響く現場。(本当に、もう・・・)
というのも、これはトイレのバリアフリー改修工事。足の不自由なお婆さんが毎日の暮らしが少しでも楽になるように。というのが本来の目的。
そのために、足が悪いのに、TOTOのショールームまでお越し頂いて、シュミレーションができるところで、手摺の高さ、位置、ペーパーホルダーの位置、便器と壁の距離も最適値を確認して、測定結果を反映させて図面を作成したのです。
配管が終わっているということは、便器の位置が決まっているということ。配管の位置では、測定したデータと違い、手摺の付く壁が遠く、手をぐっと伸ばさないといけません。
それでは、まずい・・・と思ったので、「配管しちゃったんですね。」という発言になったんです。しかも、外壁作り直して、広くなって、ますます手摺が遠くなっているし。
結局、怒鳴り声のする現場に、施主であるお婆さんが現れ、二人ともトーンが落ち、しかも、私の物言いが良くないので「職人を連れて帰る!」と言い出した大工さんに、なすすべはなく、私が口のきき方が悪かったと謝罪して、現場は続行されることになりました。
最後に、竣工検査に行きましたが、手摺の向きが逆!!!立ち上がるときに必要な横のバーが反対向きについている!ペーパーホルダーも指定の位置にない!大工さんはというと、お婆さんに、「この、引き戸の板ば見ちゃってんしゃい。さわらの一枚もんたい。上等やろうが。天井は松の皮付き丸太の押し縁で、しゃれとるでっしょうが。」と説明中。いえ、図面の中にはそんな高級材料、指定してないんですけど・・・

いや、さわらの一枚板はいいんです!!本来の使いやすいトイレにしたいという目的はどこに行ったんですか?
竣工後暫くして、ご様子伺いにいきました。その時、大工さんに見せていただけなかった見積もりをお婆さんに見せていただいたら、「100万円」の請求書。もともと図面になかったさわらの一枚板とか入れているし、こちらの意図に反して、意匠や材料に凝っているから、こんなことに・・小さなトイレ工事に100万。
手摺の件を伺ったら、立ち上がるときは、仕方がないので、ペーパーホルダーに捉まっているとか。
本当、もっとしっかり大工さんに伝えるべきだったとか、反省する現場でした。施主が求めているのを具現化しないといけないのに、色々と仕事のあり方について考えさせられました。(その後、色々な現場でご一緒いただいた他の大工さんは概ねちゃんとされていました。むしろ、こちらが勉強になっています。)
その後、お婆さんの娘さんから「キッチンのリフォームがしたいので、お願いできますか?」とご依頼されましたが、この時も条件が前述の大工さんの施工であること。
娘さん曰く、「住んでいる家を建ててもらっているけど、雨漏りがして、ちょくちょく手直しして貰っているから、大工さんは変えられないんですよね。でも、この大工さん、私の話を聞いてくれなくて、家建てるときも、要望を色々言ったのに、大工さんが好きなようにしちゃって・・・それで、今回、使い勝手を考えると設計士さんに入ってもらいたいんですよ。」とのこと。
「・・・すみません。お断りします。」とお話しました。これが初めてお断りしたお仕事。
こんな経験もあり、毎日の仕事でも、自分の作品を作っているんですか?依頼者の住まいを作っているんですか? と、日々、自問しています。
大変ご無沙汰致しております。
ありますよね~大工さんが勝手に作ること。
ホントに目が離せない時ありますからね。
建設業はキツイ時期ですが、
お互いガンバリましょう!
ありますよね~大工さんが勝手に作ること。
ホントに目が離せない時ありますからね。
建設業はキツイ時期ですが、
お互いガンバリましょう!
camelc | URL | 2010-08-10-Tue 21:12 [編集]
> 大変ご無沙汰致しております。
> ありますよね~大工さんが勝手に作ること。
> ホントに目が離せない時ありますからね。
うーん。建築士も大工さんも依頼者の要望を的確に具現化できているかが大切だと思います。
きっと、建築士である私も依頼者の意図を読み取れていないことがあると思います。
色々と反省することが多いです。
> 建設業はキツイ時期ですが、
> お互いガンバリましょう!
そうですね。日々の積み上げが明日につながります。
> ありますよね~大工さんが勝手に作ること。
> ホントに目が離せない時ありますからね。
うーん。建築士も大工さんも依頼者の要望を的確に具現化できているかが大切だと思います。
きっと、建築士である私も依頼者の意図を読み取れていないことがあると思います。
色々と反省することが多いです。
> 建設業はキツイ時期ですが、
> お互いガンバリましょう!
そうですね。日々の積み上げが明日につながります。
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